条件付き確率#

定義#

条件付き確率

「事象 \(A\) が起きた」と分かったもとでの事象 \(B\) が起こる確率は

\[\begin{split} P(B|A) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\\ \end{split}\]

また、「事象 \(B\) が起きた」と分かったもとでの事象 \(A\) が起こる確率は

\[ P(A|B) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(B)} \]

変形すると、

\[\begin{split} P(A\cap B)=\\ P(A)\times P(B|A) = P(B) \times P(A|B) \end{split}\]

事象の数をベースに、このように表現することもできる

\[ P(B|A) = \dfrac{|A\cap B|}{|A|} \]

例題#

サイコロ#

サイコロを1つ振った。出目を見逃してしまったが，友人が出目は偶数だと教えてくれた。このとき出目が 4 以上であった確率を求めよ。 –高校数学の美しい物語

  • 事象A: 4以上が出た

  • 事象B: 偶数が出た

  • 求める確率: 事象B=Trueである時、事象A=Trueである確率

\(P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\)

\[\begin{split} P(B) = (偶数が出る確率)\\ \dfrac{3}{6}\\ P(A\cap B) = (4以上の偶数が出る確率)\\ = \dfrac{2}{6}\\ P(A|B) = (偶数が出た上で4以上が出る確率）\\ = \dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}\\ =\dfrac{\dfrac{2}{6}}{\dfrac{3}{6}} =\dfrac{2}{3} \end{split}\]

事象の数ベースで考えても、

  • 事象A: 4以上つまり\({4,5,6}\)なので\(|A|=3\)

  • 事象B: 偶数つまり\({2,4,6}\)なので\(|B|=3\)

  • \(|A\cap B|\): 4以上の偶数つまり\({4,6}\)なので\(|A\cap B|=2\)

\[\begin{split} P(A|B) = \dfrac{|A\cap B|}{|A|}\\ =\dfrac{2}{3} \end{split}\]

男の子、女の子#

ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち少なくとも一人は男の子ということが分かった。このとき，二人とも男の子である確率を求めよ。ただし，男の子が生まれる確率，女の子が生まれる確率はともに \(\dfrac{1}{2}\) とする –高校数学の美しい物語

  • 事象A: 二人とも男の子

  • 事象B: 一人が男の子

  • 求める確率: \(P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\)

  • 子供の組み合わせ: 男男,男女,女男,女女

\[\begin{split} P(B) = (一人が男の子の確率)\\ = \dfrac{3}{4}\\ P(A\cap B) = (一人が男の子かつ二人が男の子の確率)\\ = \dfrac{1}{4}\\ P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\\ = \dfrac{\dfrac{1}{4}}{\dfrac{3}{4}}\\ =\dfrac{1}{3} \end{split}\]

検査と感染#

とある病気にかかっているか判定する検査について考える。この病気は 10 万人に一人が罹患している。「病気なのに陰性と判定してしまう確率」「病気でないのに陽性と判定してしまう確率」はともに 0.01 であるとする。太郎さんが陽性と判定されたとき，本当に病気にかかっている確率を求めよ。 –高校数学の美しい物語

  • 事象A: 感染している

  • 事象B: 検査で陽性

  • 求める確率: \(P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\)

-

感染

してない

陽性

0.99

0.01

陰性

0.01

0.99
\[ \begin{align}\begin{aligned}\begin{split} P(B|A) = (感染した上で陽性の確率)\\ = 0.99\\\end{split}\\\begin{split}P(B) = (検査で陽性の確率)\\ = (感染かつ陽性) + (非感染かつ陽性)\\ = 0.00001 * 0.99 + 0.99999 * 0.01\\ =0.0000099+0.0099999\\ =0.0100098\\ P(A\cap B) = P(A)\times P(B|A)\\ =0.00001 \times 0.99\\ =0.0000099\\ P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\\ =0.0000099 \div 0.0100098\\ = 9.890307498651322e-4\\ \fallingdotseq 0.001 \end{split}\end{aligned}\end{align} \]

１と書かれた赤玉#

次の図の袋の中には、赤い玉が3つ、白い玉が3つ入っています。赤い玉のうち2つには「1」、残りの1つには「2」と書かれています。一方、白い玉のうち2つには「2」、残りの1つには「1」と書かれています。この袋の中から玉を1つ取り出す時、「1」と書かれた赤色の玉が取り出される確率はいくらでしょうか。 – 統計web

  • 事象A: １と書かれている

  • 事象B: 赤玉

  • 求める確率: \(P(A\cap B)\)

\[ P(A \cap B) = \dfrac{2}{6} = \dfrac{1}{3}\]

例題1と同じ袋の中から玉を1つ取り出した時、その玉は赤色でした。この赤い玉に「1」と書かれている確率はいくらでしょうか。 – 統計web

  • 事象A: １と書かれている

  • 事象B: 赤玉

  • 求める確率: \(P(A|B) = \dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\)

\[\begin{split} P(B) = \dfrac{3}{6}\\ P(A \cap B) = \dfrac{2}{6}\\ \therefore P(A|B) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(B)}\\ = \dfrac{2}{3} \end{split}\]

サイコロの出目の和#

さいころを2回投げて出た目の和が8以上となる確率はいくらでしょうか。ただし、1回目に出た目は「4」であることが分かっています – 統計web

  • 事象A: 和が8以上

  • 事象B: 4が出る

  • 求める確率: \(P(A|B)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(B)}\)

\[\begin{split} P(B) = P(4が出る確率)\\ = \dfrac{1}{6}\\ P(A \cap B) = P(4が出てかつ、2回目に4以上が出る確率)\\ = \dfrac{1}{6} \times \dfrac{3}{6}\\ \therefore P(A|B) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(B)}\\ = \dfrac{\dfrac{1}{6}\times \dfrac{3}{6}}{\dfrac{1}{6}}\\ = \dfrac{3}{6} = \dfrac{1}{2} \end{split}\]

カード戻さず#

1 から 13 までの番号が書いてあるカードが 13 枚 入っている箱から，カードを 1 枚取り出し，それ を戻さずに，続けてもう 1 枚取り出します。1 回目 に偶数が出たとき， 2 回目は奇数がでる確率を求 めなよ。 – iドリル

  • 条件A: 1回目に偶数が出る

  • 条件B: 2回目に奇数が出る

  • 求める確率: \(P(B|A)=\dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

\[\begin{split} P(A) = \dfrac{6}{13}\\ P(A \cap B) = P(A) \times \dfrac{7}{12}\\ P(B|A) = \dfrac{P(A) \times \dfrac{7}{12}}{P(A)}\\ = \dfrac{7}{12} \end{split}\]

玉戻さず#

赤玉 5 個と白玉 3 個の入った袋から，玉を 1 個ずつ 2 個取り出す。ただし，取り出した玉はもとにもどさ ない。1 個目に赤玉が出たときに，2 個目も赤玉が出 る確率を求めよ。 – iドリル

  • 事象A: 1回目に赤玉がでる

  • 事象B: 2回目に赤玉がでる

  • 求める確率: \(P(B|A) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

\[\begin{split} P(A) = \dfrac{5}{8}\\ P(A \cap B) = P(A) \times \dfrac{4}{7}\\ P(B|A) = \dfrac{4}{7} \end{split}\]

2回のサイコロの出目の差#

1つのサイコロを続けて2回振ったときに，1回目の出る目をa，2回目に出る目をbとする．

(i). 事象\(|a-b|<5\)の起こる確率は？

(ii). 事象\(a < 5\)が起こった時に、事象\(|a-b|<5\)の起こる確率は？ https://www.geisya.or.jp/~mwm48961/koukou/cond_prob.htm

(i) 事象\(|a-b| \geq 5\)となるケースを数え上げると、

1回目

2回目

abs(a-b)

1

6

5

6

1

5

の2通り。

全事象\(U\)は\(6\times 6=36\)通りなので、 事象\(|a-b|<5\)の起こる確率は

\[\begin{split} P = \dfrac{36-2}{36} = \dfrac{34}{36}\\ \dfrac{17}{18} \end{split}\]

(ii)

  • 事象A: \(a<5\)

  • 事象B: \(|a-b|<5\)

  • 求める確率: \(P(B|A) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

\[\begin{split} P(A) = \dfrac{4}{6}\\ P(A \cap B) = P(aが5未満、かつbとaの差が5未満)\\ \end{split}\]

事象Bのうち、a>=5のケースは

1回目

2回目

計(通り)

5

1~6

6

6

2~6

5

なので

\[ \begin{align}\begin{aligned}\begin{split} P(A \cap B) = \dfrac{34-11}{36}=\dfrac{23}{36}\\\end{split}\\\begin{split}\therefore P(B|A) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\\ = \dfrac{\dfrac{23}{36}}{\dfrac{4}{6}}\\ = \dfrac{23}{36} \times \dfrac{6}{4}\\ = \dfrac{23}{6} \times \dfrac{1}{4}\\ = \dfrac{23}{24} \end{split}\end{aligned}\end{align} \]

2018センター試験 - 大小のサイコロ#

大小のサイコロを同時に投げる試行において、

  • 事象A: 大きいサイコロで4が出る

  • 事象B: 2個のサイコロの出目の和が7

  • 事象C: 2個のサイコロの出目の和が9

  1. A,B,Cの確率は？

  2. それぞれの確率は？
    Cが起きた時のAが起こる条件付確率と、
    Aが起きた時のCが起こる条件付き確率は？

  3. 不等号は？
    \(P(A \cap B)\) vs \(P(A)P(B)\)
    \(P(A \cap C)\) vs \(P(A)P(C)\)

  4. 大小2個のサイコロを同時に投げる試行を2回繰り返す。
    1回目に事象\(A\cap B\)が起こり、2回目に\(\overline{A} \cap C\)が起こる確率
    3つの事象\(A, B, C\)がそれぞれちょうど1回ずつ起こる確率
    – 東進

  1. 事象\(A\)においては大小のサイコロは独立事象なので、

\[ P(A) = \dfrac{1}{6} \]

事象\(B\)のケースは{1,6},{2,5},{3,4},{4,3},{5,2},{6,1}の6通り。全事象は36通りなので、

\[ P(B) = \dfrac{|B|}{|U|} = \dfrac{1}{6} \]

事象\(C\)のケースは{3,6},{4,5},{5,4},{6,3}の4通りなので、

\[ P(C) = \dfrac{|C|}{|U|} = \dfrac{4}{36} = \dfrac{1}{9} \]

  1. \(P(A|C)\)と\(P(C|A)\)を求める。事象\(A \cap C\)は{4, 5}の1通りしかない。

\[ \begin{align}\begin{aligned}\begin{split} P(A) = \dfrac{1}{6}\\ P(C) = \dfrac{1}{9}\\ P(A \cap C) = \dfrac{1}{36}\\\end{split}\\\begin{split}P(A|C) = \dfrac{P(A \cap C)}{P(C)}\\ = \dfrac{1}{36} \times \dfrac{9}{1}\\ = \dfrac{1}{4}\\\end{split}\\\begin{split}P(C|A) = \dfrac{P(A \cap C)}{P(A)}\\ = \dfrac{1}{36} \times \dfrac{6}{1}\\ = \dfrac{1}{6} \end{split}\end{aligned}\end{align} \]

  1. 事象\(A \cap B\)は{4, 3}の1通りなので、

\[\begin{split} P(A \cap B) = \dfrac{1}{36}\\ P(A)P(B) = \dfrac{1}{6} \cdot \dfrac{1}{6}\\ \dfrac{1}{36} == \dfrac{1}{36}\\ \therefore P(A \cap B) == P(A)P(B) \end{split}\]

\(P(A \cap C)\)は問２で求めたので、

\[\begin{split} P(A \cap C) = \dfrac{1}{4}\\ P(A)P(C) = \dfrac{1}{6} \cdot \dfrac{1}{9}\\ = \dfrac{1}{54}\\ \dfrac{1}{4} > \dfrac{1}{54}\\ \therefore P(A \cap C) > P(A)P(C) \end{split}\]

  1. 1回目に事象\(A\cap B\)が起こり、2回目に\(\overline{A} \cap C\)が起こる確率は、1回目が2回目に影響を与えない独立事象なので、それぞれの確率を掛け算すればよい。

事象\(\overline{A} \cap C\)は「大きいサイコロで4以外が出る」かつ「2個のサイコロの出目の合計が９」になる。

ケースとしては、

  • {3, 6}

  • {5, 4}

  • {6, 3} の3通り

\[\begin{split} P(\overline{A} \cap C) = \dfrac{3}{36}\\ P = P(A \cap B) \cdot P(\overline{A} \cap C)\\ = \dfrac{1}{36} \cdot \dfrac{3}{36}\\ = \dfrac{1}{432} \end{split}\]

事象\(A, B, C\)がそれぞれ1回ずつ起こる確率は、

1回目

2回目

\(A \cap B\)

\(\overline{A} \cap C\)

\(A \cap C\)

\(\overline{A} \cap B\)

\(\overline{A} \cap B\)

\(A \cap C\)

\(\overline{A} \cap C\)

\(A \cap B\)

の4パターン考えられる。

\[\begin{split} P(A \cap B) = \dfrac{1}{36}\\ P(A \cap C) = \dfrac{1}{36}\\ P(\overline{A} \cap C) = \dfrac{1}{12}\\ \end{split}\]

\(\overline{A} \cap B\)のケースは、

  • {1, 6}

  • {2, 5}

  • {3, 4}

  • {5, 2}

  • {6, 1}

の５通りなので、\(P(\overline{A} \cap B) = \dfrac{5}{36}\)

\[\begin{split} P = P(A \cap B) \cdot P(\overline{A} \cap C)\\ + P(A \cap C) \cdot P(\overline{A} \cap B)\\ + P(B) \cdot P(A \cap C)\\ + P(C) \cdot P(A \cap B)\\ = 2 \times \dfrac{1}{36} \cdot \dfrac{1}{12}\\ + 2 \times \dfrac{1}{36} \cdot \dfrac{5}{36}\\ = \dfrac{1}{18}(\dfrac{3}{36}+\dfrac{5}{36})\\ = \dfrac{1}{18} \cdot \dfrac{8}{36}\\ = \dfrac{1}{9} \cdot \dfrac{1}{9}\ = \dfrac{1}{81} \end{split}\]